「自分の進む道は一つだけ」という考えに縛られていたら今はない。殻を破り、新たなキャリアを歩めた理由(前編)
株式会社うるる |
人事部 採用・組織開発課 課長
神崎 智恵 さん
2021.11.29
クラウドワーカーという「人のチカラ」を活用した「CGS事業」、「クラウドソーシング事業」、「BPO事業」など複数のサービスを展開する株式会社うるる。2017年から新卒採用をスタートした同社に、未経験人事として入社し、現在は採用・組織開発課の課長を務めるのが神崎さんです。元々はスペシャリスト志向だったと話す彼女も、現在は管理職としてチームマネジメントを行う立場。前編ではこれまでの経歴や思考の変化を踏まえ、そんな神崎さんの人物像に迫ります。
Profile
神崎 智恵
株式会社うるる
人事部 採用・組織開発課 課長
大学卒業後、新卒でITベンチャー企業に営業職として入社。二度の転職を経て、2017年に株式会社うるるへ入社。入社以来、一貫して全社の採用を担い、現在は成長支援・人事評価制度の設計も担当する。自身のビジョンは、仕事を通じて「今が一番幸せ」と言える人が増える世の中創りに貢献すること。
ビジョンへの共感だけでなく、事業との連動性が会社を選ぶ軸だった
これまでのご経歴の中で、まず新卒で法人向けのクラウドサービスを提供する会社に入社されたんですね。何かきっかけはあったんですか?
「当時、その会社が掲げるビジョンへの共感と、ビジョンと事業が連動しているのかを軸に就職活動をしていました。その基準に合致をした会社の一つだったんです」
ビジョンと事業が連動してるかどうかの判断は、どうやって行っていたんですか?
「ビジョンはその会社が目指したい方向ですよね。ここは、時代が変わっても、おそらく変わらない部分だと思っていて。そこにどれだけ各社の代表やボードメンバーが想いを乗せて話しているのかに目を向け、さらに自分が共感できるのかを大切にしていました。事業については『なぜこのサービスを作っているのか』『これを世の中に提供することで遠い未来、どんなポジティブな影響を及ぼすのか』が言語化されているか。そしてその話が、ビジョンとしっかり結びついているのかを見ていましたね。実はうるるを選んだ理由もまったく同じで、新卒で就活したときの軸を思い出し、ビジョンへの共感はもちろん、事業と連動しているところに共感して入社したんです」
就活の軸がすごくしっかりされてたんですね。
「ただ、就活を始めた当初からこの軸を持っていたわけではなくて…。合計70社ぐらいの会社説明会に参加したことで、組織の規模が小さくなるほど、創業から月日が立っていないほど、会社の色としてビジョンが強く出るということに気づいたんです。スタートアップのようなベンチャー企業から老舗の大手企業までかなり幅広く会社を見た結果でした。元々、ベンチャー気質で創業から何十年も経っていない会社に入りたいと考えていたため、ビジョンへの共感・事業との連動が自分の会社選びにとって重要だなと気づき、そこから就活の軸になりましたね」
かなりたくさんの会社を見られたんですね。「就活自体は、楽しみながらやれてるな」みたいな感覚はあったんですか?
「そうですね。一般的には就活ってつらいイメージがあると思うんですけど、私は楽しみながらやっていました。それこそ、当時はすべてオフラインでの開催でしたから、1日に3社の会社説明会に足を運ぶような、割と忙しいスケジュールでした。移動時間も含めると、食事を取る時間が全然ない…。自然と痩せていく姿を見て、周りから心配されることもありました。でも『全然そんなことはないよ』って伝えていましたね(笑)。元々、あまり人と比較をすることに価値を感じないタイプで、自分のペースで楽しんでやれている感覚がありました」
自分の物差しで歩くほうが自己肯定感を高く保てる
人と比較しないのは、何かきっかけがあってそういう考えに変わったんですか?
「私、生まれつき医学的にも解明されていない重度の扁平足でして。そんな中、学生時代は最終的に全国優勝を掴むまでチアダンスをやってきて。いわゆる進学校に進学したものの勉強そっちのけで、特に高校・大学時代はスポーツに没頭した完全なるスポーツ少女だったんですよね。でも、スポーツをやっていると自分の足が普通の人と違うということで、辛さを感じる機会が多々ありました。ただ、逆に言うと、周囲の人と違う個性があるからこそ『自分だからこそできることは何だろう』と考えるようになる。自分はみんなと違うけれど、どうやって『センターで踊れるか・自分のやり方で上達するためには』を考えてきた経験が、人と比較しない自分の行動の土台になっていたと感じます」
なるほど。人と違う中で自分なりにどう行動するのかを、これまで考える機会が多かったんですね。
「はい。『自分は他の人と違う』と、意識することが多かったんです。だからこそ、人とは違うという事実を受け止めた上で、他人と同じ物差しではなく、自分の物差しで歩いたほうが自己肯定感も高く保てるなと、当時から考えていました」
その自分の物差しが揺らぐというか、この物差しで合っているか、不安になることはないですか?
「それは、もちろんありました。例えば仕事においてだと、私、今年度から管理職に昇格をしたんですけどね。今に至るまでの過程で、本当に管理職が向いてるのか、マネージャーができるのかというのは非常に悩みました。そこで、物差しがぶれたというか、自分を信じられなくなったみたいなところがありましたね」
「これまでと同じ方向では、その枠組みの中でしかスキルを高められない」先輩の言葉が視野を広げる
なぜ、自分の物差しが信じられなくなったんですか?
「そうですね…具体的にお伝えをすると、私自身、これまでのマインドでそのまま行ってたらおそらくスペシャリスト志向だと思っていたんです。ずっと現場の第一線で自分のスキルや経験を積み重ねて、何かで尖っていきたいと思ってたんですよ。そして世のそんな方々を見てカッコいいと感じていました。うるるの前に働いていた会社では、一人ひとりが個の力で突き進んでいく文化で、スペシャリストの集団という要素が強かった。その中で年齢的にも、社歴的にも周りより低かったこともあり、自然と『自分が常に現場の第一線でやるしかない』という志向になっていた部分もありますね。でも、現在のうるるでは課長というポジション。チームマネジメントを行う管理職になると、自分ではなく周りを見ながらマネジメントを行う必要がありますよね。なので、マネージャーを目指すか否かといったタイミングで本当に適性があるのか、悩んだ時期がありました。ただ、社内でメンターをしてくれている先輩との対話で『これまでと同じ方向に進んでいたら、同じ枠組みの中でしか自分のスキルを高められないんじゃないか』という話をされて。確かにそう考えると、今まで経験したことのないルートに入っていくのは、自分の可能性を広げる良いチャレンジだなと。そんな言葉を受け、自分の中で改めて咀嚼してみると、確かにこの道もありだなと納得感を持てたんです」
チームを持つマネジメント職だと自分以外の人に目を向ける要素が強いと思いますが、その考え方の切り替えみたいなものは上手くいきましたか?
「結果論としては上手くいったのかと思いますが、意識的に行った感覚はないです。チームメンバーが提案してくれた施策で成果が出たり、チームメンバーの成長がすごく嬉しかったりと、いつからか自然と思うようになったんです。おそらく新卒1〜2年目ぐらいの私は、恥ずかしい話ですが他のメンバーの成長にアンテナを張ることがなかったように感じます。でも今は、自然とメンバーやチームを主語にして考えることが日常になりました」
それも今のポジションに就いたからこそ、そういう考え方に自然と切り替わっていったんですね。
「はい。自分の進む道は一つしかないんだという考えだけに囚われていたら、本当に今はないですよね」
これまでの話を伺っていると、自分の物差しを大事にされていると思うんですが、その物差しを構築するための材料は何かあるんですか?
「大きく2つあって『本を読むこと』と『人と対話すること』ですね。もともと読書が非常に好きなんですけど、いわゆる一般の教養は書籍から吸収をするようにしています。特に社会人になってからはビジネス書が大半で、うるるに入社をしてからは主に人事領域の書籍が多いですね。そして、もう一つが生身の人でかつ、自分がいつもいるコミュニティではない人と対話することは昔から続けています。勝手にメンターだと思っている社外の方が数人いるんですけど、具体的な業務が違う中でも通じる価値観があるんです。なので、書籍で得た一般的な知識と、生身の人から聞いた声を掛け合わせて、自分なりの物差しを構築しているところはありますね」
「わからない」と思った時点から熱が高まる。だから、未知の領域にも飛び込める
人事領域に関するインプットで言うと、書籍だけでなく他社の人事の方と交流されることもあるんですか?
「ここ最近はあまり開催されていませんが、私が未経験人事としてうるるに入社した当時、対面でのイベントがかなり活発に行われていたんです。平均すると、週1日ぐらいは参加をしていましたね。とにかくいろいろな方に出会い、うるるを知ってもらうのと同時に、他社の人事の方からインプットする機会を持ちました。各社そうだと思いますが、人事って社内に多く在籍している職種ではないですよね。社内だけだと同じ職種の人と会話をする機会が少ないからこそ、外の人たちとの交流が自分の中での新しい気づきになると思うんです。採用という文脈だと各社、ライバル企業ですが、今困っていることを相談すると皆さん親身に相談にのってくれるんです。そこで得た気づきを社内で活かすようにしていましたね」
あと、人との対話だと、コミュニティ外の方の意見も大事にしているんですね。
「そうですね。もちろん社内の方とも会話をすることは多いですが、具体的な業務の話や組織のカルチャーを知ってるからこその相談がどうしても多くなるんです。でも、社外の方だと、人生における仕事の立ち位置とか、もっと抽象度の高い話ができる。自分の視野を広げるきっかけになりますよね」
今いるコミュニティ以外の意見を聞いた方がいいと思ったきっかけはあるんですか?
「新卒として就活をしているときから、その考え方はあったと思います。たくさんの会社を見ていく中で、これまで知らなかった業界や職種に触れ、自分の引き出しを増やしていくのが楽しかったんですよね。昔から、足を踏み込んだことがない領域にワクワクするタイプなんです。学生時代から資格の勉強や習い事、交友関係など、まったく今まで関わったことがなくて『わからない』って思った時点から、非常に熱が高まるタイプでした。どんなときでもやりたいって言ったものは全部やらせてくれて、すべてに対して目標を定めるよう育ててくれた家庭環境も大きかったかもしれません。学生時代は習い事を5つ6つ掛け持ちするみたいなこともありましたね」
わからないと思ったことに、ハードルを感じるのではなく、むしろ知りたいという熱が高まるタイプの神崎さん。だからこそ、未経験だった人事の分野にも、抵抗を感じることなく飛び込めたのかもしれません。続く後編では、神崎さんが人事としてうるるに入社し、携わった施策の話を聞いていきます。
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会社概要
社名 | 株式会社うるる |
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設立 | 2001年 |
事業内容 | CGS事業、クラウドソーシング事業、BPO事業 |
従業員数 | 222名(2021年3月31日現在) |
会社HP | https://www.uluru.biz/ |