好奇心が原動力。自動車整備業から人事に転身するまで(前編)

販売やコールセンターのアウトソーシング事業など、人材派遣を中心にさまざまな領域でビジネスを展開するウィルグループ。同社に中途で入社し、現在は採用戦略部で中途採用とタレントマネジメントを担当するのが、松原さんです。自動車整備業からキャリアをスタートし、人事になるとはまったく予想していなかったと話す松原さん。好奇心を原動力に、一歩一歩進んできた先に辿り着いた、人事就任までの道のりに迫りました。

後編ではウィルグループの人事課題やタレントマネジメントに関する話をお届け

Profile

松原 輝

株式会社ウィルグループ
人事本部 採用戦略部

高校卒業後、自動車整備業を経て航空物流会社へ。その後、ウィルグループに転職し、食品工場において組織マネジメントを経験。中途採用組織の立ち上げを経て現在は、採用戦略部で中途採用領域とタレントマネジメントを担当。

高校卒業後、自動車整備業へ。「実践の場では正解がない」ことを学ぶ

経歴を拝見しましたが、自動車整備業が最初のキャリアなんですね。

松原さん

「自動車が好きだった親に影響を受け、学生時代からガソリンスタンドのアルバイトをしていました。それで、就職も自動車に関わる仕事がしたいと思ったんです。高校卒業してすぐに就職したんですが、当時は大学に行くより早く手に職をつけるほうがかっこいいと思っていたのも理由としてあります」

いざ就職してみてどうでしたか?

松原さん

「自動車整備というと、点検・整備サービスを届けるものだと思っていたんです。でも、車の所有者の方に対して事前の説明や見込み客獲得のために営業活動を行うなど、お客様とのコミュニケーションが多い部分にギャップを感じましたね

営業活動にはすんなり馴染めましたか?

松原さん

「いやいや、本当に苦手で。上司と部下で営業の練習を行うのですが、なかなか慣れなくて、ずっと壁を感じていましたね」

人と話すのが苦手というよりも、決まったトークを覚えて話すのが苦手というイメージですか?

松原さん

「そうなんです。これに対してはこういう提案をしなさいみたいなトークスクリプトがありますよね。でも会話は生き物ってよく言うと思うんですが、実践になると想定外のことが起きるので全然うまくいかなくて。トークスクリプトなどはあっても、営業活動など実践の場では唯一の正解があるわけじゃないことを、今になって思うと学んだ気がします」

「年齢関係なく教えられることがある」2社目で興味を持った教育

その後、2社目は航空系の物流会社に転職されているんですね。

松原さん

「単純に千葉県民として知っている空港エリアだったのと、新しいことに挑戦したいという気持ちで転職しました。そこで入社して2年経ったとき、新しく訓練教官を作るという話になり、一番手に選ばれて初めて新入社員の教育を担当することになりました。これまでやったことはありませんでしたが、教育って面白いなと思った時期ですね」

どんなところに教育の面白さを感じたんですか?

松原さん

年齢に関係なく自分が提供できるものがあることです。航空業界独特の用語があり、それを覚えるだけでも大変ですし、もちろん専門技術を習得する必要もある。そういう自分がこれまで学んだことを伝えたり、教えたりできるようになるのが面白かった。人によって伝わり方が違い、例えば若い子は仕事の経験がないところからスタートするので、部活や日常の勉強に例えると伝わる。年上の方だと、今までの職務経験に例えて説明するなど、相手に合わせて伝えることの大事さを感じましたね」

伝え方を考えることに面白みを感じたんですかね?

松原さん

「どうなんだろう…。伝えた後にそれが行動として見られたときが一番嬉しかったですね。こっちが伝えたことと向こうの解釈がズレていると、行動が変わらないときもある。でも、違う言い方をすると行動につながったときが、一番やりがいを感じました」

現場でのマネジメント経験が人事の仕事に活きる

そこから現在のウィルグループにはどうして転職しようと思ったんですか?

松原さん

「20代前半は自動車整備、航空物流と、自分の生身の体を使って働いてきましたが、30代40代になったときに続けられないと思ったのが一つ。体じゃなくて頭を使う仕事を探さないとと思い、これまでやってきた教育や人をまとめる仕事ができるということで「マネジメント」系の仕事を中心に探し始めました。調べていく中で、人材業界なら未経験でもチャンスがありそうだなと思い、いくつか応募した中で内定をいただいたウィルグループに入社したかたちです」

ウィルグループでは最初、どういった業務を担当されたんですか?

松原さん

「まず最初は、お客様の食品工場に常駐し、ウィルグループが派遣したスタッフのマネジメントなどを行う『管理者』として配属になりました。スタッフ100名、社員5名の組織でマネジメントを行い、前職での後輩指導の経験も活かせて、最終的には食品工場の所長という役職まで担当しました」

派遣スタッフの方のマネジメントが、ウィルグループでの最初のお仕事なんですね。

松原さん

「はい。2年ぐらいで所長になったのですが、その頃には元々3部門だった組織が、10部門に拡大。一人では回せないため、中間管理職を作ったり、各部門で専門職を育てたり。それこそ、最適な配置を実現するために要員計画を作成することもありました。組織マネジメントの中で人材配置を学べた経験は、今の人事の仕事にも活きていると感じますね」

「人事になりたい」ではなく「新しい挑戦がしたい」気持ちが強かった

その後、人事にはどのタイミングで異動されたんですか?

松原さん

「4年現場を経験し、もっと会社全体に影響を及ぼせるような新しいことを始めたい、という気持ちが芽生えていました。そんなことを考えていたタイミングで、ちょうど社内のチャレンジ公募という制度で『中途採用組織を新たに作るので、そのメンバーを募集します』という発表があったんです。うちの会社は新卒採用について20年ぐらいの長い歴史があるんですが、中途採用は各組織でやっており、統一感がなかった。そこで、中途採用に特化した組織を新たに立ち上げようという話が持ち上がり、その募集に手を挙げて応募したのがきっかけです」

なるほど。自ら応募されたわけですね!

松原さん

「ただ、募集を知ったときは、もう締め切りの2日前。プレゼン後に面談というステップだったんですが、プレゼン資料も前日に慌てて作り、持っていきました。そしたらいいねと言われて、割とトントン拍子で合格をもらえたんです。奥さんや当時の同僚には『実は異動するかもしれない』と伝えて、後出しで話したことを覚えています(笑)」

どんな内容のプレゼンをしたんですか?

松原さん

「『中途採用の人事をお任せするので、うちの採用課題とその解決策を提案してください』といった概要が提示され、プレゼンを行う必要がありました。そこで私がやったのは、要員計画です。会社のホームページに出ている組織構成や人数比率をもとに、これからさらに各組織を伸ばしていくためには、どれだけの人数が必要で、この部分の採用を強化していかないといけない。一般社員から一つ位が上がったリーダーをどう増やしていくかが課題だと思います、といった内容のプレゼンをしたら通りました」

食品工場でのマネジメント経験が活きたわけですね。

松原さん

「はい。現場でやっていた要員計画を、今度はウィルグループ全体に当てはめて作成したイメージです」

「新卒文化を変えたい」中途採用組織の立ち上げで初めて人事を経験

人事に対して、当初はどういうイメージを持たれていたんですか?

松原さん

「その当時でいうと、うちは新卒採用がすごく華やかで、新入社員は高確率で『人事』になりたいと言います。なので、新卒採用は花形のポジションなんだ、というイメージでしたね。でも私は中途なので、新卒採用の華やかさを知らなかった。会社自体が新卒文化と言われているからこそ、それを変えられる、中途採用の色もいかように出せるポジションにつけると、意気込んでいました」

なるほど。中途採用組織のプロジェクトでは、割と自由にいろいろな施策を打てたんですか?

松原さん

「はい。自分で採用方針を決め、予算取りもしなくてはいけない。本当に0から設計しないといけない状況でした。そのため、ありとあらゆる本を読んで仮説を立て、ダメもとでどんどんアウトプットをして上司からフィードバックをもらうことを繰り返しました。『新卒文化を変えてやろう』という意志と、『いろいろなことにチャレンジできる』という2つの軸が原動力になっていましたね」

色々な施策を打ち、改善して、を繰り返してきたわけですね。

松原さん

「はい。ただ、プロジェクト自体は残念ながら1年で終了したので、その後は本社に異動し、新卒採用と労務があるチームに、中途採用セクションとして所属することになりました」

続く後編では、本社へ異動後、役割がまったく異なる業務での苦労や、人事課題解決のために取り組んだ施策について話を聞いていきます。

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会社概要

社名 株式会社ウィルグループ
設立 2006年4月3日
事業内容 人材派遣、業務請負、人材紹介を主とする人材サービス事業を行うグループ会社の経営計画・管理並びにそれに付帯する業務。
従業員数 4845名(連結、2021年3月末現在)
会社HP https://willgroup.co.jp/

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