システムエンジニアから人事に転身。多くの意見を聞きながら最適解を導く人事のやりがい(前編)

1988年の創業以来、情報システムのコンサルティングから設計、開発、運用など幅広くサービスを提供してきた株式会社クレスコ。ラテン語で「成長する」という意味をもつその社名の通り、働く人々が喜びと誇りをもって成長していく姿を支えることを、会社の使命と位置づけています。そんな同社で人事を務める池谷さんは、新卒入社以来10年以上、システムエンジニアとして勤務した後、産休・育休を終えて一転、人事に異動。自身のライフステージの変化とともに異動に至った経緯と、未経験となる人事の仕事のやりがいについて話を聞きました。

【後編ではクレスコの人事課題や施策について紹介しています】

Profile

池谷 幸子

株式会社クレスコ
人事部

新卒で株式会社クレスコに、エンジニアとして入社。その後、2021年度に人事へとキャリアチェンジし、カオナビの運用や中途入社者のメンター事務局を担当。エンジニアとしての経験を活かし、人事業務以外にも社内の業務効率化・RPAの開発に携わる。

子どもが生まれたのをきっかけにキャリアを見直す

人事には1年前に異動されたばかりということで、その前はシステムエンジニアをされていたんですね。

池谷さん

「そもそも、就職活動ではシステムエンジニア一本に絞って活動していたんです。文系の学部だったんですが、パソコン関係の講義をきっかけに興味を持ち、やってみたいと思うようになりました。新卒で入社した当初は研修を受けても現場の仕事についていけなくて、夜な夜な勉強していましたね。でも、SEは常に新しい知識を入れていかなければいけない仕事だと聞いていましたし、学ぶことや仕事自体、楽しかった。はじめは何がわからないのかもわからず、質問の仕方すら迷うような新人でしたが、2年目頃からは仕事を任されることも増えてきました。若手にも責任ある業務を任せてもらえる環境だったのも大きいですね」

SEの仕事はどんなところにやりがいを感じましたか?

池谷さん

「一刻も早い復旧を求められるシステム障害対応で、チームのみんなと一斉に集中して取り組むときなど、大変でしたけど充実感がありました。クレスコは立場の上下にかかわらずわりとフラットなコミュニケーションがとれていて働きやすい会社ですし、当時は、ずっとここでSEとして働くんだと思っていましたね。それが変わったのは、10年以上経って、子どもを産んでからですね

ライフステージの変化でキャリアに対する考え方も変わったんですね。

池谷さん

「若いうちはなかなかキャリアについて考える機会はなかったんです。ただ、子どもを3人産んでひと段落したタイミングで、仕事だけでなく家庭とのバランスも考えるようになりました。システム障害への対応など、緊急性を要する業務が発生するSEは、なかなか自分でコントロールしにくい仕事子育ても、子どもが急に熱を出して早退しなくちゃいけない状況など、自分でコントロールするのは難しい。そう考えたときに、せめて仕事は自分でコントロールできるようにしたいと思ったんです。そこで、キャリアを見直そうと考えました。そんなことを考えていた折、3回目の育休を終えて職場に復帰するタイミングで、『人事が異動人員を募集しているけど、どう?』と打診されたんです。そこで、二つ返事で決めましたね」

SEを経験したからこそ気づいた人事の魅力

人事の仕事に興味を持ったきっかけは何だったんですか?

池谷さん

「社内に、自分から立候補して異動をするローテーションプログラムがあり、それで人事に異動したSE時代の同僚がいたんです。その体験を聞いて興味を持ちました。採用活動で学生さんと話したことや、座談会を通じて『クレスコの働きやすい環境に納得して内定を承諾してもらった』という話を聞き、そこに加わってみたい、人事は面白そうだ、という印象を持っていました」

立候補制ではあるものの「ジョブローテーション」のような仕組みが、新しい仕事に興味を持つきっかけになったんですね!人事への印象は、実際に業務にあたってみて何か変わりましたか?

池谷さん

「異動前は、人事って定常業務がほとんどなんじゃないかと思っていたんです。ただ、いざ入ってみると、実際は社員一人ひとりの声を聞きながら試行錯誤して、最適解を導き出していくポジションなんだとわかりましたね。SEの仕事はロジックを考える面白さ、一人で組み上げる達成感などがあり、自分の世界で閉じて思考することが多く、ゴールも比較的、明確でした。ところが、人事の仕事には正解がない。人とのかかわりのなかで、よく見てよく考え、多くの意見を聞きながら最適解を導きだしていくところが難しくもあり、魅力だなと感じたんです。SEのときとは違って、コミュニケーションのなかでゴールを探していくような仕事に、やりがいを感じていますね」

着任直後に任されたカオナビ運用。まず始めたのは欲しい情報のヒアリング

人事として具体的にどんなお仕事を担当しているんですか?

池谷さん

「人事に入ったときはもうカオナビが導入されていたので、まずはその運用を引き継ぐところから始めました。組織・異動情報の反映や目標管理シートの作成、権限の設定といった部分から引き継ぎました。カオナビの『サポートサイト』で使い方のページを読み、操作が直感的だったこともあり、スムーズに引き継ぐことができましたね」

「サポートサイト」を見ながら、ある意味独学で構築していったわけですね。

池谷さん

「そうなりますね…。サポートサイトを見るだけで設定できるぐらい、簡単だったというのもあります。ただ、異動した当初は思ったよりも社内で活用されませんでした。業務報告や目標設定、人事評価など、必要なタイミングでのみ、必要最低限の使い方しかされない状況だったんです。『プロファイルブック』で情報を見るのと、人事評価のときに『スマートレビュー』に入力するぐらいでしか触らない、という社員も多く、そこでもっとみんなに活用して欲しいと思い、動き始めました。私としては画面の項目をちょっとドラッグ・アンド・ドロップで追加して保存するだけで、必要なレイアウトが作られていく。こんなに簡単な操作で設定できるなら、もっと社員の人たちに使ってもらう工夫もできると思ったんです。元々、SEだったからこそ、こんな使いやすいツールを作ってくださったエンジニアの方々が、本当にすごいと思いましたよ(笑)」

それは、ありがとうございます!ご自身がエンジニアだったからこそ、使いやすさがよりわかるのかもしれませんね。現場での活用を進めるために、まずは何をしたんですか?

池谷さん

欲しい機能はどんなものか、何ができたら助かるのか、各部門長にヒアリングしました。すると、現場で欲しいのは、人柄も含めたより詳しい社員一人ひとりの情報だとわかりました。例えば『現場指導員やメンターを担当した履歴』『ストレングスファインダーやSPIなど個人の強みや性格特性が分かる診断結果』『スキルや資格の情報も知りたい』と言われたこともあり、カオナビで簡単にできることなのに、実現できていない、できるのに知られていなかったんです。そこで、社員の情報がより詳しく知れるように複数のシートを作成して追加したり、『チャートボード』にグラフを増やし、社内の掲示板で周知したりしました」

とはいえ、社員の情報をもっと知りたいと言われても、全部の情報を公開するわけにはいかないですよね?

池谷さん

「もちろんです。人事情報というのは非常にセンシティブなもので、どこまで公開していいものなのか、線引きも必要です。そこで、社内の関連部署に確認したり、ほかのシステムの管理をしていた担当者に前例を聞いたりしましたね。『LGBTの観点から性別の公開はやめましょう』とか、時代によって扱いが変わる情報もありますよね。見える情報を増やし、それを社内に周知して活用してもらう取り組みはまだまだ始まったばかり。これからも現場の声を聞きながら、活用方法を探っていきたいですね」

続く後編では、「キャリアパス」や「社員の定着率」といったクレスコの人事課題を踏まえ、取り組んでいる施策について話を聞きました。

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会社概要

社名 株式会社クレスコ
設立 1988年4月1日
事業内容 情報システムに関するコンサルティングおよびソリューションサービス、設計、開発、運用管理、保守など
従業員数 連結2638名(単体1369名、2022年4月1日現在)
会社HP https://www.cresco.co.jp/

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