「人事はバックヤードではない」自ら露出を増やし、発信に注力するワケ(後編)

小説の執筆をきっかけにクリエイティブな仕事に興味を持ち、ゲームプランナーから人事に転身しようと思った経緯を聞いた前回。ダンクハーツへ人事として入社後、採用フローの見える化や評価運用の効率化に取り組み、入社当初に抱えていた人事課題の多くは解決できたと話します。一方で、新たに浮上した課題が、社外的な認知度の低さ。後編では、クリエイター目線で行う社外に向けた発信をはじめ、面接のセオリーなどを聞きました。

【前編はこちら】
*本記事の掲載内容はすべて取材時(2022年5月26日現在)の情報に基づいています

Profile

長谷川 春菜

株式会社ダンクハーツ
管理部長 兼 人事責任者

新卒でゲーム会社にプランナーとして入社し、3年目でコンシューマーゲームやアプリ開発チームのプロジェクトマネージャーに抜擢。その後、会社説明会へ登壇したことをきっかけに人事の仕事へと興味を持ち、人事としてダンクハーツに入社。プロジェクトマネージャー時代の経験を活かして管理体制の構築や採用フローの見える化、プロジェクトアサイン検討時の効率化に着手。現在は管理部長と人事責任者を兼任する。

面接は現場社員の同席がセオリー。働く人同士の会話でミスマッチを減らす

未経験で人事に転職された長谷川さんですが、初めての業務で苦労したことはありましたか?

長谷川
さん

「終わってしまうと、苦労した認識はなくなってしまうんですが、採用の仕組みづくりなどは大変でしたね…。元々、採用フローや、採用タスク・応募者の管理といった管理体制に課題があったんです。実は、それを整える人が足りないので、私が採用されたという背景もありました。そこで、前職のプロジェクトマネージャー時代に行ってきたプロジェクトの進捗管理や、最終的な納期に向けたフローの見える化といった経験を活かし、管理体制の構築や採用フローの見える化に着手したんです。あとは、教育面も大変でした。当時は教育制度もOJTのみとなっておりましたので、この会社に足りないビジネスマナースキルを洗い出し、定期的に行う研修として具体的なカリキュラム考案や研修資料の作成も行ったりしました」

職種は変わっても、前職の経験をしっかり活かせたということですね。

長谷川
さん

「そうですね。プロジェクトマネージャー時代、『何をどうしたら、プロジェクトに関わる皆が一番動きやすいんだろう』と常に考えていましたからね。あとは、そもそも何かを作ること自体が好きなので、苦労というよりも『仕組みを作ることが楽しい』という気持ちでした。何かを作るという点でもゲームと人事は共通していますよね」

仕事の向き合い方は、クリエイター気質の長谷川さんならではですね。採用の部分だと、面接も長谷川さんが担当されるんですか?

長谷川
さん

「はい。ただ、私が会社の雰囲気について答えるというよりも、現場で働いているメンバーにお願いして面接に同席してもらうようにしています。クリエイターである現場のメンバーに話を振り、ぶっちゃけどうなのか、リアルな話を語ってもらうんです」

面接は、必ず現場の方が同席されるんですか?

長谷川
さん

「そうですね。求職者の方が会いたいのは人事ではなく、一緒に働く人だと思うので。クリエイターはとくにこれまでのスキルを活かせそうか、新しい技術を学べそうかなど転職後に何ができるか、に興味があると思うんです。人事が知っている会社の事情よりも。実際に働く人同士の会話が、結果的にミスマッチを防げると考えています。面接での私の大きな役割の一つは、全員がリラックスし、素の状態で話せる雰囲気を作ることですね」

ちなみに長谷川さんは、求職者の方のどのような部分を見ているんですか?

長谷川
さん

「『この方が入社すると会社はどうなっていくのかな』と想像しながら、自己紹介の話し方や人柄を見ています。当社には『人間関係をシンカ(深化・進化)させる』というミッションがあるので、そのミッションに共感してくれるのはもちろん、どういうアプローチで人間関係を築き、深めてくれそうかを見ていますね」

もっと会社を知ってもらうために日常のやりとりやメンバーの趣味を発信

続いて、いま直面している人事課題があれば教えてください。

長谷川
さん

「以前、カオナビさんのセミナーでもお話しましたが、私が入社した当初に抱えていた人事課題は、カオナビの導入によってかなり解決しました。スタッフの顔と名前の一致や、プロジェクトアサイン検討時の効率化に始まり、これまでスプレッドシートで行っていた評価運用の管理コストも半減できました。現在はどちらかというと、当社の社外的な認知度の低さに課題を感じています。そのため、約1年前に人事公式のTwitterをスタートさせ、仕事内容や社員について発信してみたり、『DankHeartsEngine』というnoteで、社員たちに自分の知識やスキルを発信してもらう技術ブログを運用したりと、新しい取り組みを行っています」

外部への情報発信に注力されているんですね。認知度向上の一番の目的は、求人への応募者数を増やすことですか?

長谷川
さん

「そうです。私の感覚ですが、クリエイターが就職先を選ぶ軸は3つあると思っています。1つ目が『特定の作品の制作に携わりたい』という、作品メインで選ぶパターン。2つ目が『企業が保有する技術力』で選ぶパターン。この会社のこの技術がすごいから学びたいというものですね。そして3つ目が『このクリエイターたちと一緒に働きたい』という、人の軸で選ぶパターンです。正直なところ、当社は現状だと1つ目を満たすことが難しい。受託案件は契約の関係上、具体的な作品名を外に出せません。こうした背景から、技術と人の魅力を前面に出すことで、求職者の方の目に留まるようにしたいと考えているんです」

人の魅力を出すために、どういった発信を行っているんですか?

長谷川
さん

「例えば、メンバーとのささいなやりとりや、メンバーの趣味や熱中している様子が垣間見える写真をTwitterに載せています。普段の会話や、趣味などから働く人の人柄が伝わるようにしているんです」

人事は「バックヤード」ではない。前に出ていく存在へ

長谷川さんが、人事の仕事をする上で大事にしていることを教えてください。

長谷川
さん

『長谷川に言ったら何とかしてくれる』と思ってもらえる仕事を続けることです。そのために、圧倒的なスピードやプラスアルファのクオリティ、人として信頼できる対応を意識しています。例えば、一つ質問されたことに対して『これを聞くということは、これも知っておいたほうがいいよね』と考えて返すことは日々意識していますね。だからこそ、相手から感謝されたとき、やっぱり嬉しい。あるとき、退職する方から『ありがとうございました。(退職の手続きに関して)対応してくれたのが長谷川さんでよかった』とチャットをもらったんです。そのときに人事ではなく、私自身を認めてもらえた気がして嬉しかったんですよ」

ありがとうございました!最後に、これからチャレンジしたい施策について教えてください。

長谷川
さん

「やはりTwitterや技術ブログなど社外向けの取り組みは今一番力を入れているので、そこは続けていきたいですね。加えて、メンバーにも各々が考えていることや保有しているスキルをアウトプットできるようになって欲しい。どうやってその意識や環境を作るか、今、頭を悩ませているところです。また、人事含めて管理部門や事務職って『バックヤード(オフィス)』という言葉でカテゴライズされますよね。私はそれが嫌いなんです。私自身は何もバックにいるつもりはありません。個人として、もっと露出を増やして前面に出ていきたい。やっぱり小説を書くのが好きだから、自分自身を表現したい欲もあるんでしょうね(笑)。でも真面目な話、それが結果として会社の認知度向上にもつながると思うんですよ」

編集後記

子供の頃に夢中になったことは時間が経つごとに忘れてしまうと思っていましたが、長谷川さんは小学生の頃から趣味で書いている小説も、ゲーム体験をきっかけに大切にしようと思った「仲間を守ること」も、現在進行形で大事にしていました。それに、幼少期の経験がゲームプランナー、人事というキャリアを歩む原点にもなっている。やりたいことの原点はやっぱり小さい頃の経験にあるんだなと、過去を振り返るきっかけになりました。大人になってから作りあげたのではなく、幼少期の強烈な経験が仕事の原点になっている。だからこそ、未経験ながらも人事の基盤づくりを推進し、自社に限らずあくまでも外部である当社のセミナー登壇やコミュニティでの発信を通して社外のみなさまをも牽引する行動力につながっているんだと感じた取材でした。

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会社概要

社名 株式会社ダンクハーツ
設立 2005年6月21日
事業内容 コンテンツメディア事業、ソーシャルゲームコンテンツの企画・開発・運営
従業員数 92人(2022年5月現在)
会社HP https://www.dank-hearts.co.jp/

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