新規事業で”広さ”を経験した後、求めた”深さ”。「人事を極めたい」と思うまでの道のり(前編)
インターステラテクノロジズ株式会社 |
人事責任者
片桐 哲さん
2023.01.20
「誰もが宇宙に手が届く未来」をビジョンに、ロケット開発に取り組むインターステラテクノロジズ。堀江貴文さんが創業した会社としても有名です。
そんな同社に2022年7月に入社し、人事責任者を務める片桐さん。新卒で入社したインテリジェンス(現:パーソルキャリア)で営業を経験し、その後、『SIXPAD(シックスパッド)』などを展開するMTGで新規事業を立ち上げるなど、人事以外の経験も豊富です。
そこから、宇宙業界×人事というポジションにどうやってたどり着くことになるのか。前編では現職に至るまでの道のりに迫りました。
【後編ではインターステラテクノロジズの人事課題や施策を紹介します】
*本記事の掲載内容はすべて取材時(2022年11月17日)の情報に基づいています
Profile
片桐 哲
インターステラテクノロジズ株式会社
人事責任者
1990年生まれ山形県出身。2013年にパーソルキャリア株式会社(旧インテリジェンス)に入社し、営業として従事。その後は株式会社MTGの「SIXPAD」ブランドの採用責任者、株式会社EVERINGの設立とOperation Manager、株式会社Libryの採用責任者として従事。2022年7月から現職。
何をしたいかわからなかった就活時代。だから選んだのが、裁量権の大きい会社
新卒で入社されたインテリジェンス(現:パーソルキャリア)はどういった経緯で選ばれたんですか?
「元々、社会人として働くことへのイメージがあまり湧かなかったこともあり、就活を始めたときは正直何をしたいのかわかりませんでした。そこで、まずはビジネスマンとして総合的な力を身に付けたいと思い、新卒からでも任せてもらえる業務の幅が広い会社がいいなと思ったんです。そのなかで、会社説明会や面接などを通じて裁量権が大きいと感じた『インテリジェンス』に入社しました。入社後は求人広告の営業を担当し、自分の与えられたエリア内のさまざまな業種のお客さまに対し、どんな風に求人を出すのか、どのプランがおすすめなのかを提案していく日々でした。そうして3年目までは営業として、その後はマネジメント業務に取り組むなかで、営業としてのスキルは一定身に付けた実感を得ることができたんです。それから、もう少し違うことをやりたいなと思い、転職することにしました」
「違うこと」とは、具体的にどんなことですか?
「すでにある仕組みのなかで仕事をするより、その仕組み自体を作るような、いわゆる0から1の仕事で自分の力を試したいと思ったんです。ちょうど当時のお客さまで、『SIXPAD』などで有名なMTGの方から『新規事業を一緒にやってみないか』と誘ってくれたこともあり、そのまま入社を決めました」
新規事業の立ち上げで「広さ」を経験し、今度は「深さ」を追求する
新規事業はどんな内容でしたか?
「MTGが展開するSIXPADの技術を活用した、トレーニングジムの立ち上げです。ジムに関する知見はほとんどない状態からのスタートだったこともあり、まずは他社の事例を参考にしながらビジネスプランや商品開発を進めていきました。この頃は、自分に知見のない分野だからこそ、外部からどうやって必要な情報を集めるかに注力しました」
新規事業をやってみて、どんな部分が大変でしたか?
「MTGが上場するタイミングで絶対に新規事業をローンチさせるというデッドラインが決まっていました。そのため、ジムをオープンするまでのスケジュール管理はとくに大変でしたね。ジムをオープンするためにはやることがたくさんあり、どういうコンセプトにするのか、どの立地にオープンするのかから始まり、店舗を借りて必要な設備を整えたり、働く従業員の採用から育成まで行ったりと、とにかくマルチな動きが求められました。1店舗できたら、そのノウハウを使って新しい店舗を増やすといった方針で、3年間で海外含め5店舗を出店することができました。今思うと、幅広い業務を経験させてもらいました。きっとこのときの経験で、あらゆる業務に対応する柔軟性や、絶対にやり切る力が付いたのだと今思うと感じます」
その後、MTGのグループ会社であるEVERINGへの設立・転籍を経て、Libry(リブリー)に転職されますよね。なぜ転職しようと思ったのですか?
「次第に、もっとスキルの『深さ』を追求したいと考えるようになりました。というのも、MTGではいわゆる何でも屋に近いところがあり、『広さ』は経験できたものの、ふと立ち返ったときに私には『深さ』が足りないと感じたんです。そこで、もっと人事領域を深めたいと思いました。インテリジェンスでは人材系に関わり、MTGでも採用や育成をやるなかで、自然と人に関わる仕事の面白さに気づいたんです。それに、経営とも密接に関わっている点が魅力的でした。どうやって極めるかというと、まだあまり人事制度が整ってない企業で、一から制度構築などを経験したいと思ったんです。そのなかで、勢いのあるSaaS業界で、なおかつ会社のビジョンや代表の熱い想いに共感したLibryに入社することにしました」
限られた採用予算のなかで実施した「リファラル」。注目したのは新入社員
入社後、どんな業務を担当しましたか?
「最初に取り組んだのは、オンボーディングプログラムの構築です。入社した当時のLibryは、1時間程度のプログラムが用意されていて、そのあとは現場で直接学んでもらうというスタイルでした。そのため、まずは業界の知識や会社の方針を1日かけてインプットし、そのあとも入社後3カ月間はフォロー面談等を適宜実施することで、少しでも早く活躍できるプログラムに改善しました。1ヶ月くらいこのプログラムの構築に関わり、ひと段落してからは採用や、評価の見直しなども担当しました」
例えば採用業務に関して、前職とのギャップはありましたか?
「強いて挙げると、使える予算のギャップですかね。MTGは上場したこともあり、ある程度、採用にかける予算が割かれていましたので。そのため、Libryでは限られた予算のなかでいかに、自社にフィットした人材を採用していくのか、すごく頭を使いました」
採用ではどんな工夫をしたんですか?
「まず、リファラルに着手しました。つまり、どうすれば社員から別の候補者を紹介してもらえるのか考えました。入社したての頃が一番、知人に会社を紹介してもらいやすいと考え、本当に地道ではありますが、新入社員のオンボーディングプログラムの中に『リファラル制度』のコンテンツを追加し、声をかけていく草の根運動から始めたんです。また、リファラルを実施するのにあたり、紹介インセンティブも重要な要素ですが、加えてそもそも紹介者が会社を好きかどうかも重要です。そこで、社員のエンゲージメント向上にも力を入れました。具体的には、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を浸透させるためのイベントを行ったり、同僚との相互理解を高める場を作ったりしました」
評価の見直しは、どんな取り組みをしたんですか?
「Libryは代表が評価を行っており、部長などのマネージャークラスは評価に入っていなかったんです。でも、組織も大きくなってきたタイミングで、そろそろマネージャーにも入ってもらおうと、まずは評価者のなかで評価基準を揃えることから始めました。これまでは代表が一人でやっていたから問題がなかったものの、抽象度が高い評価軸は人によって評価がブレてしまいがちです。そうした言葉の定義をから着手しました」
続く後編では、なぜ「インターステラテクノロジズ」へ転職しようと思ったのかを踏まえ、現在の人事課題や施策を聞いていきます。
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会社概要
社名 | インターステラテクノロジズ株式会社 |
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設立 | 2013年1月 |
事業内容 | ロケットの開発・製造・打上げサービス |
従業員数 | 100名 |
会社HP | https://www.istellartech.com/teaser/index.html |