手話で学んだ「受け手の理解に頼りすぎない発信」。人事になった今も私が意識すること

総合人材サービス会社「SGグループ」で、人事課に所属する北田かおりさん。元々、人と関わる、一人ひとりを大事にする仕事に就きたいと就職活動をしながら、個人をしっかりと見る姿勢に惹かれて志望したのが、人材業界でした。

なかでもSGグループを選んだ決め手は、自身が大学時代にのめり込んだ手話が関係していました。前編では、人材業界を志望してSGグループに入社し、そこから人事に至るまでの過程に迫ります。

【後編では現在の人事課題や、新たに運用を開始した新評価制度について紹介します】
*本記事の掲載内容はすべて取材時(2023年2月17日)の情報に基づいています

Profile

北田 かおり

SGグループ株式会社
コーポレート部 グループ人事課

2018年、株式会社サウンズグッドに入社。メディカル事業部で派遣スタッフの採用業務を一通り経験後、SGグループ株式会社のグループ人事課に異動。カオナビの運用や人事評価制度の見直し・運用を担当している。カオナビのユーザー主催企画「もくもく会」では運営メンバーとして参加。特技は手話。

就活生ではなく「私」という人を見てくれたのが、人材業界

そもそも、なぜ人材業界を志望されたのですか?

北田さん

「就職活動を始めたときの軸は、人と関わる、一人ひとりを大事にする仕事をしたいということでした。私自身、今まですごく周りの人に支えられてきた人生だと感じており、人そのものの大切さを知っているからこそ、お客様も一緒に働く仲間も大事にできる仕事がいいなと思ったんです。それで就活イベントなどに参加していろいろな会社からメールをいただくのですが、SGグループも含めて人材業界の方はすごく『私』という人を見てくださっていると感じたんです。学生がグループディスカッションするようなイベントで『北田さんのこういう発言がいいと思いました』と、就活生ではなく私を見てもらっていたんです。その経験から、人材業界は『お客様』という一括りではなく『お客様の誰々さん』と、個人をしっかり見ていると感じて、私の軸とも一致していると思ったんです」

そのなかで、とくにSGグループに惹かれたのは、どんなポイントだったんですか?

北田さん

「私、中学の授業で教わって以来、手話に興味を持ち、大学時代はずっと手話サークルに入ってかなりのめりこんで勉強をしていたんです。手話で話せるようになるという1個の大きな目標を立て、一年目はこれ、二年目はこれができるようになると、年度ごとに目標を立て、それをクリアするために何が必要かを考えて実行していたんですね。その努力の仕方が、SGグループのやりかたと似ているなと思ったんですよ。というのも、SGグループもわかりやすい大きな目標として、お客様、派遣スタッフの方、社員、そして社会に『Sounds good!(いいね!)』と言ってもらえる企業を目指すことを掲げているんです。そんな1個の大きな目標に向け、お客様、スタッフ、ともに働く社員との5つの誓いとして「明るく元気な挨拶をして信頼と絆を深めよう」から始まる行動指針を定めている。そして、それを体現できているか確認するんです。目標の立て方がとてもシンプルで、私のがんばり方と合っているということは、合う会社だなと思ったんですよね」

「受け手の理解に頼りすぎず、伝わる発信になっているか」手話で学んだこと

手話を学んだ経験が、就職活動にもつながったのですね。

北田さん

「しかもそれだけでなく、仕事にも活きているんです。手話って耳で聞く言葉と違い、視覚言語なんです。そのため、言葉で伝える以上に相手にちゃんと伝わっているかを意識しなければなりません。『わかりやすく伝える』つまりは『相手に伝わるように伝える』ことはコミュニケーションにおいてとても大事なこと。手話を通してそれに気づいたからこそ、仕事においても、相手の理解力の高さに頼った他力本願な伝え方ではなく、『わかりやすく伝える』意識が持てたんです」

仕事にもつながっているわけですね。

北田さん

「はい。手話を通じて、コミュニケーションは ”相手に伝える努力”を怠ってはいけないなと感じました。大学時代、これを強く感じた出来事がありました。というのも、サークル内で聴覚障がいのある男性メンバーと、そうでない女性メンバー同士で言い合いになったことがありました。2人はお付き合いをされていたのですが、ひとしきり手話でのコミュニケーションがヒートアップした後、女性の方が『今日は通じないね。ごめん』と言ったんです。そしたら、男性側も『ぼくのほうこそ、うまく伝えられなくてごめん』と、手話で伝えたんです。それに対して、『違うよ。私が悪いの』と言い直していて、相手に伝わっているかどうかを、この2人は常に会話のなかで意識しているんだと思ったんです。私は、それこそコミュニケーションの本質だなと感じました。たとえば人間、慣れてくると『あれ、取って』『あれ、やった?』と主語を省くのが当たり前になってきます。でも、この2人は常に、今の表現で相手に自分の意図が伝わっているか、確認していたんです。当たり前に思うかもしれませんが、受け手の理解に頼って発信するのではなく、伝わりやすい発信になっているかを自ら意識することは、コミュニケーションでとても大事なんだと学びました」

考えをかたちにできる。入社して気づいたシステム設計の面白さ

入社して最初はどういった業務に携わったのですか?

北田さん

「2018年に入社した当初の所属は、メディカル事業部で、介護士さん・看護師さんの人材派遣と紹介を行う部署でした。派遣スタッフの方の採用業務を担当し、採用戦略の策定から求人記事の作成、また応募者の方の面接やその後のフォロー対応などを主に行いました。とくに介護職などは離職率の高い仕事と言われていますから、どんなサポートがあったら嬉しいかを派遣スタッフの方に聞いて情報を集めながら、サポート体制を強化し、それをアピールポイントとして求人記事に反映させました。事業部自体が作られてまだ2~3年経ったぐらいの頃で、まだまだ仕組みが整っていない部分もあり、採用業務以外にも派遣スタッフの方の情報登録や管理といったシステムの運用も経験しました」

入社当初から採用といった人事的な業務や、人材データを管理するシステムの運用を担当されていたんですね。その後、人事にはどういったきっかけで異動したんですか?

北田さん

「もともとExcelに抵抗がなかった延長で、システムを自分で動かしてみて慣れていき、考えたことをかたちにできるのが、おもしろかったんですよ。ちょうどその頃、仲の良い人事の先輩から『新卒イベントの座談会に先輩社員として参加してみないか』と声をかけてもらい、人事の仕事に興味を持ってきたタイミングでした。さらに、人事課の上長からタレントマネジメントシステムの運用の話を聞き、『異動して挑戦してみたい!』と思ったんです。会社からもちょうど異動の打診をもらい、自分のやりたいことと会社の意向がぴったり合ったという感じです」

異動後すぐに、タレントマネジメントシステムのメイン担当になったんですか?

北田さん

「そうですね。ただ、まずはシステムそのものの見直しから始めました。もともと他社のシステムを試行中だったのですが、改めて比較検討から行いたいという、人事部内での意向があったんです。そこで、いくつかシステムを検討するなかで、インターフェースのわかりやすさや、営業の方が本当に親身になってくださったのが決め手となり、カオナビを導入しました。比較検討するうえで他社製品との対比表を作ってくれたり、サポートが手厚くて、すごく私たちのことをよく考えてくれるのが伝わったんです。導入した今では、すっかりカオナビ漬けの毎日です(笑)」

人事になって感じた「視座の高さ」の必要性

いざ、人事の業務を始めてみて、異動前のイメージとギャップはありましたか?

北田さん

「異動前は、説明会や面接など、自分から見えていた範囲の人事の仕事しか知らなかったと痛感しました。評価をはじめとした社内制度やタレントマネジメント、また会社のブランディングも人事の担当範囲ですし、ほかの部署や経営層との関わりも多く、思っていたよりずっと幅広い仕事だと実感していますね」

初めての人事業務で、苦労したことはありますか?

北田さん

「会社全体を俯瞰して見るような視点を身に着けるのは、とても苦労しています。これまで、自分の事業部のことだけを分かれば良いといった認識でいたのですが、人事になり、事業部ごとの業績や戦略、特徴をはじめ、経営層の意向を汲み取るなど、全体を見渡す視座の高さが必要になったんです。それだけでなく、とくに今の上長を見ていて痛感するところで、経営層と話せる高い視座も持ちつつも、社員の方の手元の仕事も把握しながら、対話相手によって視座の高さを上げ下げしなければいけないんです」

手話で学んだ話にも通じますが、受け手の理解に頼らないコミュニケーションを行うためにも、視座の高さをコントロールする必要があるんですね

北田さん

「そうなんです。とはいえ、私はまだまだなのですが、受動的なままだといつまでたっても自分で視座の高さをコントロールできないので、自分から能動的に情報をキャッチアップすることは心がけています」

続く後編では、カオナビ全社公開から浸透に至る道のりや、北田さんが理想とする人事のありかたなどについて伺います。

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会社概要

社名 SGグループ株式会社
設立 2009年5月1日
事業内容 人材派遣事業、有料職業紹介事業、アウトソーシング/BPO事業、紹介予定派
従業員数 329名(2020年4月時点)
会社HP https://www.sounds-good.co.jp/

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