「パソコンが得意」から始まった人事のキャリア。人事になった今も幼少期の達成感が土台に

静岡県内で車を求める人を中心に、トヨタ車を販売するトヨタユナイテッド静岡。同社で人事を務める大野結香さんは、元々、事務職を志望していたもののパソコンが得意というきっかけから人事になり、いまでは『人事部にいる大野さん』という認識してもらえることがとても嬉しいと話します。前半では、そんな大野さんの幼少期の経験から人事に至る過程まで話を聞きました。

【後編では同社の人事課題や取り組み、大野さんの人事としてやりがいについて聞きました※5月24日公開予定】

Profile

大野 結香

トヨタユナイテッド静岡株式会社
人事部 労務健康グループ

高校卒業後、トヨタユナイテッド静岡の前身である静岡トヨペットに人事として入社。採用関連業務を経験後、出勤簿のデジタル化プロジェクトや3社統合にともなう制度やルール統合に携わる。現在は、労務管理とカオナビの運用がメイン。

剣道を卒業まで続けた”達成感”が、社会人になった今も土台に

現在、人事を務める大野さんですが、元々、人事を志望していたのですか?

大野さん

「志望していたというよりも、元々の配属が人事だったというのが正しいです。経歴からお話すると、私は高校を卒業し、一般事務の経験が積める会社を探すなかでトヨタユナイテッド静岡の前身である静岡トヨペットの求人を見つけ、派遣社員として入ることになりました。静岡トヨペットに入社してからは採用活動のお手伝いをすることになり、新卒採用の説明会などの受付で名簿をチェックしたり会場の準備をしたりしていました。そのなかで就活生の情報をパソコンに登録したり分類したりしていたら、入力が早いことに気付いたある人が『もしかしてパソコン得意?』と声をかけてくれて。それで、勤怠管理システムを導入することで出勤簿をデジタル化するプロジェクトに携わることになり、そのタイミングで正社員登用してもらったんです」

そうだったのですね。元々、パソコンを触るのは好きでしたか?

大野さん

「私が小さい頃はパソコンではなくワープロが主流で、小さい頃はよくそれをおもちゃにして遊んでいました。中学、高校生になってからも学校や自宅にあるパソコンを、よく触っていましたね。大人になってからも、もしかすると遊びの延長のような気持ちでやっているところもあるのかもしれません。また、昔から数学の問題を解くのも好きでした。1つの答えが出ることのスッキリ感が好きなんです。だからなのか、0か1かみたいな判断をしてしまいがちで、どうしても最後は一つの結論にまとめたい性格なんです。曖昧なことが苦手で、答えを出したくなってしまうんですよね。でも、人には0か1かでは割り切れないこともありますし、人と関わる仕事ではあえて曖昧にすることで考える余白を残しておいたほうが良いこともあります。それは人事になってから先輩方に学んだことです。こうしたパソコンと数学が好きという延長で、Excelで計算式を入れたり関数を作ったりすることも好きになっていきました。学生の頃は、趣味でExcelをやっていたこともあるんですよ。『こんな関数あるんだ』と思いながら使う予定もないのに計算表を作ることもありました。そのためパソコンやオフィスソフトを使う仕事ということで事務系の職種を選ぼうと思ったのですが、縁あって人事の仕事に携わることになりました」

パソコンのほかにも、幼少期や学生時代に打ち込んでいたことはありますか?

大野さん

「小学校卒業までは剣道をしていました。スポーツ少年団のような地域の剣道場に通っていて、6年生になるまではやると決めて、その通り、小学校を卒業するまで続けたんです。このとき先生に『6年生までちゃんと頑張ったね』と言ってもらえた経験が、とても印象に残っています。この経験で『私、ちゃんと達成したんだ』という達成感を抱くことができ、何かをやるときの自信につながりました。仕事というのは基本的に最初に立てた目標を達成することだと思うので、このときの自信が社会人になってからも私の土台にあるんです。いま思い出すと懐かしいのですが、冬には寒稽古といって真冬の階段の登り降りをするなど、言われたことを無心にやったり、みんなと大変さを共有したりできるのは幼少期ならではの経験ですよね。その後、中学からは絵に興味があったこともあり、美術部に入りました。才能はあまりなかったんですけど、美術やデザインにはずっと興味があって、高校でも商業デザインやWebデザインの授業を受けていました。そのため、今もどうやったら読みやすくて見やすい資料を作成できるのか、考えるのが好きなんです。当社は県内を舞台に宝探しを企画するなど遊び心のある社風なので、ポップなデザインを取り入れた資料を作れることもあり、楽しく取り組んでいます」

静岡県全土を舞台に行う「宝探しイベント」で地域活性化。社内の一体感も醸成

話は脱線してしまうのですが、県内すべてを舞台に宝探しを企画されているんですね!マーケティングの一環として行っているのですか?

大野さん

「車に乗る機会を作り、車を好きになってもらうことが一番の目的なので、マーケティング色はそこまで強くありません。とくに静岡県内で子育てを行う家庭に、家族で楽しめるイベントを提供することで地域を活性化したいという想いでやっています。教育委員会にも賛同してもらい、小学校でもパンフレットを配らせてもらっているんですよ」


参考:ユナイトキラキラ探検隊 ~家康公が求めし武神の覇気(パワー)~|静岡県|リアル宝探し・謎解きならタカラッシュ!

教育委員会にも賛同してもらうなど、大々的に行われているイベントなんですね…!

大野さん

「そうですね。夏休みを中心に、7月半ばから9月半ばまで開催しています。この期間は全社的にイベントに全集中しており、本部の人員も宝探しの舞台となる各店舗に応援に行くんです。駐車場の案内はもちろん、お客様に謎解きのヒントを与えるなど運営の手伝いをしています。従業員にもイベント好きな人が多くて、宝探しっぽく店舗を飾り付けしたり、イベント用のポロシャツをみんなで着て働いたりと、社内一丸となって楽しむんです。今年で7年目の開催になるので、県内でも認知度が高まってきており、毎年参加してくれている親御さんもいるんですよ」

参加する親御さんもそうですし、従業員の方も一緒になって楽しめるイベントなんですね。そのほかにも、従業員の方が一つになって取り組む機会はあるのですか?

大野さん

「年に一度、全社会を行い、全従業員が集まる場を用意しています。社長を含めた全員が同じ場所に集まり、会社の方向性を改めて認識する場です。同じ場所で同じ内容を聞くことで、一体感が生まれると考えています。とくに当社の場合、広い静岡県のなかに店舗が点在しており、なかなか会う機会のない人も多いので、こういう場は大事にしているんです」

3社の合併を経験。人となりがわからない従業員が増えたことで積極的に店舗へ出向く

話は戻りますが、人事としてはこれまでどのような業務に取り組んできましたか?

大野さん

「一番大きな出来事でいうと、まず前提として現在所属しているトヨタユナイテッド静岡は、2021年に3社が合併して誕生した会社なんです。合併によって人事機能も統合されたため、初めての経験ばかりでとても印象に残っています。3社統合ということで、それぞれの会社に存在していた制度やルールを統合していくことから始めました。例えば有給休暇の取得および管理方法の統一です。旧静岡トヨペットでは1時間単位で有給休暇を取得できましたが、ほかの2社にはその制度はなかったんです。そのため、ほかの2社にも適用させるために、有給休暇取得のルールを改めて見直しました。また、合併した当初は店舗によって営業時間が異なっており、同じ会社に所属しているのに配属先によって従業員の働き方が違う状態だったんです。そこでまずは就業規則を見直し、働く時間や店舗の営業時間を揃えました。統一されたルールができあがった後は、従業員の方に向けて説明を行いつつ、認識をすり合わせていきました。店舗の制服も最初はバラバラの状態だったのですが、制服が揃ったくらいのタイミングで、ようやく1つの会社で一緒に働いている空気感が出てきたように思います」

異なった会社を統合するのは大変だったと思いますが、苦労したことはありますか?

大野さん

「従業員が一気に増え、人となりがわからない人が増えたのには苦労しました。例えば、有給休暇は法律上は理由不問でいつでも使える権利ですが、当社の事業上、誰かが休むと誰かが穴埋めをしないといけなくなることが多くあります。すると『有給休暇の理由を教えて』と部下に伝えてしまう方もいるんですね。でも人事部から見ると、それは良い状態とは言えません。なので、『もし声をかけるとしたら、有給休暇の理由を尋ねるのではなくて、こういう理由で人が足りていないからこの日出てもらえないかと伝えてはどうですか』というアドバイスをすることもあるんです。しかし、新しく合併した会社の人は名前はわかっても、人となりがわからない状態です。向こうからすると、私もそう見えています。その状態で『あれしてください』『これしてください』とアドバイスをしても、快く受け入れるのは難しいこともありますよね。そのため、合併後はできるだけ店舗に行き、従業員の方と顔を合わせながらコミュニケーションを行う機会を増やしています

続く後編(※5月24日公開予定)では、トヨタユナイテッド静岡の人事課題や解決のための取り組みについて話を聞きました。

*本記事の掲載内容はすべて取材時(2023年11月22日)の情報に基づいています。

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会社概要

社名 トヨタユナイテッド静岡株式会社
設立 2021年4月(静岡トヨペット、カローラ東海、ネッツスルガの3社が合併して誕生)
事業内容 TOYOTA新車販売(パトカーおよび救急車は除く)、中古車販売・自動車整備・車両リース、各種保険・KDDI/au各代理店業務
従業員数 1,412名(2023年5月1日時点)
会社HP https://toyota-unitedshizuoka.co.jp/

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