「人事に向いているね」の一言が転機。違和感が引き寄せた人事の仕事(前編)
ソフトブレーン株式会社 |
人財開発室
江原 仁美さん
2022.09.15
営業支援システムの「eセールスマネージャー」などを中心に、企業の営業課題解決ツールを提供するソフトブレーン株式会社。同社の人財開発室で人事を担当するのが、江原仁美さんです。違和感を放っておかずに、自分に合う仕事を求め続けたからこそ辿り着いたと話す人事。遅咲きのキャリアと話すものの、今では自分で施策を考えながら目標に向けて動く人事の仕事が好きだと話します。前編では、そんな江原さんがシステムエンジニアや国際関連の独立行政法人での仕事を経て、人事に辿り着いた道のりに迫りました。
【後編では離職防止など、ソフトブレーンの人事課題や取り組んでいる施策をご紹介します】
*本記事の掲載内容はすべて取材時(2022年6月3日現在)の情報に基づいています
Profile
江原 仁美
ソフトブレーン株式会社
人財開発室
大学卒業後、IT企業にシステムエンジニアとして入社したものの、大学時に専攻していた国際関係の仕事をしたいという思いが日に日に強まり、国際協力事業に取り組む独立行政法人へと転職。その後、ビジネスを動かす現場に戻りたいと転職した会社で人事職の魅力に気づき、現職も含めて計3社で人事業務を経験。2019年9月には国家資格キャリアコンサルタントを取得し、今後はキャリアに関する悩みを抽出できる体制を構築しながら、個々がイキイキと働けるキャリア形成のサポートなどにも注力。
違和感を大事にしたから辿り着いた、自分に合う仕事
江原さんは大学卒業後に入社された会社で、システムエンジニアとしてキャリアをスタートされたそうですね。
「そうですね。ただ、元々、大学では国際農業開発という分野を学んでいたこともあり、当初は海外の貧困層を支援する仕事をしたいと思っていました。そもそも、国際農業開発を選んだのは、中学時代、イギリスにホームステイしたことがきっかけです。イギリスはアフリカと距離的に近いので、アフリカの学生さんも多くて交流の機会があるんです。会話の中で、『日本ってこういう国だよね』『行ってみたい』と言われることが多く、日本のことをすごくよく知っているんですよ。でも、私は彼らの国のことを何も知らなくて…。帰国してから色々調べてみると、飢餓や貧困の問題があることを知りました。それが原体験となり、高校2年生で進路を考えはじめたとき、飢餓と貧困を解決するには農業だと思って、進路を選んだんです。そのため、大学卒業後は青年海外協力隊への参加も視野に入れていたのですが、まずは企業に入社して経験を積んだ方が良いのではと思い直し、就活を始めたんです。とはいえ、就職氷河期も相まってとても苦戦して…。そのなかで、システム開発の事業を展開する航空会社系列の会社に内定をもらい、就職することにしました。その会社で、エンジニアとして顧客管理システムの開発を担当していたんです」
エンジニアの仕事にも興味を持っていたんですか?
「そういうわけではないのですが、その頃、IT業界が盛り上がっていたこともあり、手に職も得られるだろうと思ったのが入社のきっかけです。ただ、実際に仕事をしてみると、なかなかプログラミングに興味を持つことが難しく、やはり国際関係の仕事をしたいという気持ちが日に日に強まっていきました。そこで、国際関連の仕事を探すなか、海外に日本語教師を派遣していた独立行政法人に転職することにしたんです。いま思うと、社会人になった後でも青年海外協力隊に行けたチャンスは、いくらでもあったと思うんですよね…。でも、今の道を離れることがなんとなく怖くて…。キャリアに対する柔軟な思考が当時の私にはなかったんだと思います。ただ、そんな独立行政法人の仕事も経て、新卒当時は予想もしてなかった人事の仕事に辿り着き、すごくやりがいに感じている。なので結果論ですが、回り道になっても違和感を放っておかずに行動すれば、きちんと自分に合った仕事にたどり着くんだと思いますね」
人事になって気づいた「目標に向けて試行錯誤する面白さ」
システムエンジニアから独立行政法人での仕事も経て、いま人事担当者として活躍されているわけですが、元々、人事に興味を持ったきっかけはあったんですか?
「転職した独立行政法人で2年ほど嘱託職員として、日本語教師を派遣する前の渡航準備や派遣中の管理、派遣前研修などを幅広く担当していました。ただ、日本語教師をサポートする業務がメインで、私自身が何か世の中に貢献できている感覚が薄かったんです…。そこで今度は、ビジネスを動かす現場に戻りたいと思うようになりました。そのなかで、人材派遣会社なら色々な企業のビジネスを推進するお手伝いができると思い、転職を決めたんです。最初は営業職のつもりだったのですが、私の話しぶりを見て『人事に向いていそうだね』とお声がけをいただき、向いていると言ってくれるのではあればと思い、そこで初めて人事の仕事に就きました。就活の頃、人事の仕事には興味を持っていたんです。当時、企業の人事の皆さんを見ると、キラキラしていて、素敵だなと思う方ばかりで。社会人の方とあまり接する機会がないなかで、余計に人事の方々が目に留まったんだと思います」
実際に人事の仕事を初めてみて、元々のイメージとギャップはありましたか?
「当時は企業説明会への登壇や候補者との面談など、フロントの業務がメインだったため、想像通りでした。ただ、フロントの業務を一通り経験するなかで、今度は採用戦略から関われる人事になりたいと思い始めたんです。そこで、大手IT企業の関連小会社に転職し、入社直後、私一人で25人のエンジニアを採用する仕事を担当しました。採用計画の作成から採用目標を達成するために行動した経験は、プレッシャーはありつつも、目標をクリアする面白さを知りましたね」
逆に、苦労されたことはありますか?
「苦労というか、例えば説明会から書類選考に進む人の割合が低いということが分かったとして、どうやって改善したらいいのか考えるのは難しくも、面白かったですね。経験豊富な上司からアドバイスを受けながらではありますが、どう動くか自分で考えながら仕事に取り組めることが面白かったんです。当たり前なんですが、採用ってうまくいかないことが多く、想定の数値よりも現実は下がるんですよ。承諾率も良くないし、説明会からの書類選考の進捗も良くないなどの課題が浮上してくる。その課題に対して、どういう風にリカバーしたらいいのか、上司のアドバイスをもとに施策を考えるのが楽しかったんです。人事としての経験を積むうちに、だんだんとアイデアも浮かぶようになり、あれこれやってみようと前向きな気持ちで仕事を取り組めるようになりました。これまでは、先輩や上司に言われたことをやるだけというスタンスに自然となっていたのですが、自分で施策を考えながら目標に向けて動けることを知り、仕事の面白さにようやく気づけたんです。社会人になって7〜8年経過してようやく気づいたので、ほんと、遅咲きのキャリアですよね(笑)」
「会社を好きになった」ことで組織を俯瞰して見れるように
違和感を放っておかずに自分に合う仕事を探し続けたからこそ、人事という仕事に出会い、そこで仕事の面白さに気づいたわけですね。そして現在はソフトブレーンで人事を担当しているわけですが、転職しようと思った理由を教えてください。
「入社は3年半ほど前になりますが、当時のソフトブレーンって、良くも悪くもまだ仕組みが整ってない部分が往々にしてありました。トライアンドエラーを大事にし、まずはアイデアを実行に移してみることができる風土だとも感じたので、これまでの経験も踏まえて新たな挑戦をしたいと思い、入社を決めましたね。いざ入社すると、現状ある仕組みを改善するだけではなく、仕組みそのものを作る仕事も多いので、大変さは感じていますが(笑)」
仕組み作りから携われる点や挑戦を良しとする風土に惹かれて入社されたソフトブレーンですが、入ってみてどうでしたか?
「これまでのキャリアの遅れを取り戻したい…という気持ちがあり、前職では数字を達成することに喜びを感じる部分も大きく、どちらかというと自分の実績を作りたいという思いが先行していたんです。また、自分にとって身近な社員を大切にしたいという気持ちも強く、社員を代表して上層部と戦うぞという気持ちも強かった(笑)。ただ、今は組織人としてトップの意図や会社の状況を汲んで、組織全体をどう良くしていくのか、そのために私は何をするべきなのかに重きを置いて考えられるようになったと感じています」
人事としてキャリアを積むなかで視野が広がっていったわけですね?
「そう、感じています。人事を長く経験してきたからこそ改めて実感するところなのですが、一般の社員の方、全員が『それいいね!』というルールや制度を作るのは難しいんです。それよりも、若手もベテランも、マネージャー層も、経営陣もそれぞれがなるべく違和感がないように制度や仕組みを作ることが大事。そのためにも、もちろん社員側のニーズを汲みつつも、そこだけを優先するのではなく、組織としてどうありたいのか、上層部の意向も踏まえながら、人事として施策を実行していく必要があると感じています。ただ、当社は現在、正社員約180人の会社ですが、まだまだ規模を拡大していきたいと考えており、社員数が増えれば増えるほど人事の仕事も大変になっていくだろうなと予想しています(笑)」
社員側の目線から、組織というもう少し俯瞰した目線でも見れるようになった、何かきっかけはあったのですか?
「愛社精神と言ったらおこがましいかもしれませんが、私がこの会社のことを理解し、好きになり始めたのが大きいかもしれません。180人いるなかで、会社のことが好きな人もいれば、何かしら不満を持っている人も当然います。本当にいろいろな人がいるなかで、特定の人たちだけの意見を聞きすぎてしまうと、組織にとって良いことかどうか見えなくなってしまいますよね。だから、社員側の意見は聞きつつも、組織としての俯瞰した目線も持っておかないといけない。社員側のニーズはこうで、組織としての課題はどうか。この両方を知ることが大切だと、感じています」
続く後編では、離職の抑制や定着という今後の人事施策を中心に話を聞きました。
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会社概要
社名 | ソフトブレーン株式会社 |
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設立 | 1992年6月17日 |
事業内容 | 営業イノベーション事業 |
従業員数 | 単体:213名、連結:1,056名(2021年12月末時点) |
会社HP | https://www.softbrain.co.jp/ |