経営課題を人で解決するこの仕事が、とにかくおもしろい。一度離れて気づいた人事の魅力

新卒から人事一筋だった星野さんは、1度目の転職でご自身の力不足を感じ、2度目の転職となる学研グループに入社後、しばらく人事から離れます。ただ、心の奥底では人事の仕事を再びやりたいと感じていました。そんな星野さんに人事に戻るチャンスがやってきたのが、育休から戻り、新しく設立されたGakken LEAPに所属するタイミング。そこで後編では、人事に戻った経緯や、Gakken LEAPの人事施策について話を聞きました。

前編では新卒人事で培った経験や転職で力不足を感じた出来事について紹介

Profile

星野 絵里子

株式会社Gakken LEAP

大手SIer、IT系コンサルティング企業の人事担当を経て、2013年に学研グループに転職。2回の産育休取得後、2022年よりGakken LEAPへ所属し、1人目の人事専任メンバーとしてエンジニア採用や制度設計・運用を担当する。

回り道してやっと戻ってきた人事。ようやくやりたいことが叶う

学研グループに入社後、いまでは再び人事をしていますが、その経緯を教えてください。

星野さん

「いつかまた人事をやりたいなとぼんやり思いつつも、学研グループに転職してから仕事の内容にとくに不満はなく、それはそれで楽しかったし、力不足を感じた経験はやはり頭のなかにあったので、目の前の仕事に向き合って過ごしてきました。そのなかで、もともと得意だったチームの実行推進役、という役回りに改めて自信を取り戻していきましたね。そんな折、2度目の育休から復帰するタイミングでGakken LEAPに所属することになりました。新しくできた会社ということもあり、人事のポジションが空いている状況。これはチャンスかもと直感的に思い、『人事が空いているならやりたい』と自ら手を挙げたんです。異動の承諾をもらい、10年ぶりに人事に戻ってくることができました

10年ぶりに戻ってきて、人事の仕事がやはり好きだと感じますか?

星野さん

「はい。一度離れたからこそ、やっぱりこの仕事が好きだったんだなと改めて感じます。従業員目線と会社目線、双方の施策に携われますし、採用や育成、配置などを通じて経営課題を人で解決していく過程はとにかくおもしろいんです。また、新卒から人事をやってきたため、事業からの目線、従業員からの目線が私には抜けていました。でも一度、人事から離れてみたことで『現場からはこう見えてるんだ』と、よりフラットな視点から人事業務を見ることができたんです。回り道したおかげで、事業目線から人事の役割を実感できるとともに、従業員目線でも施策を考えられるようになりました」

 

再び、人事に戻ってからはどんな業務に取り組みましたか?

星野さん

「復職して最初に取り組んだのが、制度設計でした。そもそも、Gakken LEAPは学研グループのデジタル化を進めるためにできた組織です。ただ、もともと学研グループには、デジタル化を推進していくようなエンジニアなど、専門人材と呼べる人がほとんどいない状況でした。そうした専門人材をGakken LEAPでは一から採用し、育てる役割があるのですが、エンジニアを評価したり育成したりするための人事制度がない状況でした。そのため、まずは人事制度を整え、彼らがいきいきと働けるような環境をつくる必要があったのです」

学研グループには元々そういったエンジニアを評価したり育成したりする機能はなかったのですね。

星野さん

「はい。エンジニアをはじめとする専門人材がいなかったグループですから、Gakken LEAPを設立した当初は、専門人材を評価する仕組みを一からつくる必要があったのです。人事コンサルティング会社が主体となってつくっていた全体の構想が、すでにあるタイミングで復職しましたので、それをもとに詳細や運用方法を詰めていきました。そのなかでカオナビも導入しましたし、昇給や昇格の基準、就業規則なども策定しました。就業規則などは取締役会にかけ、労働基準監督署に持っていくところまでやり、本当に手触り感を持って業務を進められたんです。従業員に制度を説明するための資料作成も行い、説明会を開催しました。もともと小さな人事組織で幅広い業務に携わりたいという思いがありましたから、まさに最初の会社の退職から10年経って人事としてやりたいことができたと思いますね。ぐるっと回り道をしましたが、ようやくやりたいことが叶ったと感じています」

従業員自ら制度設計に参加できる仕組みで、納得感を高める

最初に着手した制度設計において、意識したことがあれば教えてください。

星野さん

「とにかく時間がなかったのでつくったあとにスピード感を持って修正していくことを大事にしたのはもちろん、できるだけエンジニアの声を反映するようにしました。たとえばエンジニア向けのキャリアアップ制度の策定について、社内プロジェクトとして推進することにしたんです。このとき、自分は裏方に徹し、エンジニア自身に制度案を提案してもらいながら進めていきました。従業員自らが制度設計に参加できる仕組みをつくることで、納得感が生まれますし、より理解も深まるだろうとの考えからです」

設立からこれまで、ほかに行った施策はありますか?

星野さん

「エンジニアのキャリアアップ支援に関しては、まだまだベーシックなものばかりですが、資格取得の奨励金や、書籍購入・オンライン学習の費用負担、エンジニア向け外部イベントの参加支援などを行っています。また、経営からのアイデアで、事業報告とコミュニケーションを目的に、月に2回全社会も実施。さらに5つのディメションを定め、行動指針や評価軸を明確にしました。これらは評価に使うのはもちろん、月2回の全体会のテーマと絡めたり、社員に配布するTシャツにプリントしてみたりと、社員全員がそらで覚えられるように、あちらこちらで使っています」

 

引用元:https://gakken-leap.co.jp/recruit/

施策を行うなかで大変だったことはありましたか?

星野さん

「大変というわけではないですが、いま振り返ると、人事に再び戻ってきてからこれまで、常に新しいことを求められて走ってきました。とくに採用については、はじめてのエンジニア採用ということもあり、学研グループ自体に知見があるわけではなかったので、グループ内に頼れる人がおらず、エージェントや媒体の担当者さんに教えてもらいながら学んでいきました。ブランクのある期間で採用手法も大きく変わっていたので、『ダイレクトリクルーティングって何?』というところからのキャッチアップも必要な状況でしたね。とにかく、組織の立ち上げフェーズでまだかたちになっていないものを、なんとかかたちにするのが私の役割だったんです。採用でいうと、仕組みも何もなかったところから、採用管理システムを入れたり、現場への面談依頼・採用候補者へのフィードバックをフロー化したりするところから取り組みました。少しずつではありますが、土台は整ってきたため、これからはその土台をブラッシュアップして磨き上げていくフェーズだと思っています」

 

採用が事業成長にダイレクトに紐づく、いまのフェーズがおもしろい

改めて人事に戻り、どういった部分に仕事のやりがいを感じていますか?

星野さん

「いまのGakken LEAPのようなフェーズだと、採用がダイレクトに事業成長に紐づいてくるため、人事の側面から会社の成長に貢献できている実感が湧き、とてもおもしろいです。小さい会社なので、一人採用すると一気に事業のスピード感が上がるんですよね。それを隣で見られるのはやっぱりやりがいを感じます。また、半期ごとのキックオフ懇親会のたびに従業員数が増えており、私がオファーして面接をした方も多く、彼らが語り合っている姿を見ると組織づくりに貢献できている実感も湧きます」

 

最後に、これから取り組みたいことを教えてください。

星野さん

「制度運用と採用の2本柱に注力したいと思っており、とくに採用は学研グループの中期経営計画にも新しいコア人材となるDX人材の採用を強化していくと書かれているので、期待される役割が大きいと感じています。また、エンジニアは人気職種なので、会社側でキャリアアップの枠組みをきちんと用意しないと採用が難しいといえます。そのため採用した後、スキルを磨ける環境を用意することも人事の役割だと感じており、注力したいところです。ゆくゆくは、プロジェクトの合間の振り返りや、グループ内でDXの仕事をするときに自分のできることをアピールできるスキルシートもつくりたいですね。また、個人としてはとくに女性がもっと前向きに、楽しくキャリア形成するための取り組みを、何かできればと考えています。彼女たちのなかには、マルチタスクを行える有能な人がたくさんいるのに、仕事に対して楽しむものというイメージがあまりない方もいて、すごくもったいないと感じます。そのため、働く女性がもっと輝ける取り組みができないか、ということは長いスパンで自分のライフワークとして考えていきたいですね」

編集後記

一度は離れたものの、現在は再び人事に戻り、採用や制度設計・運用に携わる星野さん。人事の仕事が好きなんだという自身の気持ちを再認識するために、一度違うことをやってみる期間は必要だったのかもしれませんね。それを裏付けるように、インタビュー中の星野さんは終始笑顔でエネルギーに溢れており、本当にいまの仕事が好きなんだなと感じさせてくれました。本人が笑いながら毎回の評価で5つのディメンションのうち「Positive」はいつも満点なんですと話していましたが、元々持っていたポジティブさが、好きな仕事をやることでさらに際立っているように感じました。

*本記事の掲載内容はすべて取材時(2023年11月24日)の情報に基づいています

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会社概要

社名 株式会社Gakken LEAP
設立 2021年12月1日
事業内容 Ed-Tech事業の開発、構築及びコンサルティング業務、学研グループ各社およびグループ外企業のIT事業・サービスに関する企画、設計、開発、導入支援及び運用並びにそれらに関するコンサルティング、ベンチャー企業・ベンチャーキャピタルに対する投資と養成
会社HP https://gakken-leap.co.jp/

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