スキルの証明に加え、学び直しやタレマネの基礎を把握する機会に。100年企業の人事3名の受験動機

「正解のないタレントマネジメントについて実績を証明する資格があれば嬉しい」というユーザーさまの声が後押しになり、スタートした資格制度「タレントマネジメントプロフェッショナル」。正解のないタレントマネジメントに携わる人事のキャリアにも、正解はありません。そこで資格を取得した方に、受験の動機や感想はもちろん、これまでの人事経験や今後の目指す姿を聞くことでキャリアのヒントをお届けできればと思います!

今回お話を聞いたのは、創業100年を超える老舗商社「島貿易株式会社」で、人事を務める中村さん、田中さん、太田さんの3名。中村さんは主に制度運用や配置まわりを担当し、田中さんが育成、太田さんが採用と、それぞれメインとなる役割があります。そんな3人に、資格を受験した経緯から今後のキャリアをどう考えているのか聞きました。
※資格制度「タレントマネジメントプロフェッショナル」の合格者インタビューと合わせて、人事としてのキャリア観もお聞きしています。

ダイジェスト

【受験の動機】

スキルの証明になることがうれしいと思った
・社内で月に1回勉強会を行っており、そこで人事のみんなで一気に受験
・資格という目に見えるものがあると、人事の取り組みやスキルを社内外に証明する機会になると感じた

【受験した感想】

・受験することで、不足している知識がわかり、新たに学ぶきっかけに
・これからカオナビを使ってタレントマネジメントをしていくなかで、ベースとなる考え方を学ぶ良い機会に
・合格すると立派な盾がもらえるのもうれしい。社内のデスクに飾っており、写真を撮って自慢したくなった

【今後のキャリア】

ジェネラリストでありながらもスペシャリストになりたい
・総務人事のスペシャリストを目指し、周囲から頼られる存在になりたい
自分の意見と他の人の意見を踏まえ、ベストな選択肢が提案できる人事になりたい

受験で不足している知識がわかり、新たに学ぶきっかけに

まずは、受験の動機を教えてください。

中村さん

「やはり、スキルの証明になるのがうれしいですよね。受験することで、不足している知識がわかり、新たに学ぶきっかけになるのも良いと思います。社内で月に1回勉強会を行っているのですが、そこで人事のみんなで一気に受験しました。受験した感想としては、これから『カオナビ』を使ってタレントマネジメントをしていくなかで、ベースとなる考え方を学ぶ良い機会になりました。学ぼうと思っても一人ではなかなかできないという方も多いと思うので、こうしたアウトプットの機会があると助かります」

田中さん

「人事が何をしているのかが社内に伝わりにくい部分があると感じていました。そこで、こういった資格というかたちで見えるものがあると、人事の取り組みやスキルを社内に証明する機会になりますよね。もちろん、履歴書や名刺に記載することで社外に証明する機会にもなります。さらに、合格すると立派な盾がもらえるのもうれしいです。みんな社内のデスクに飾っていて、想像よりもよいものだったので写真を撮って自慢したくなりました!」

会社を変えるタイミングこそ転機。三者三様のキャリアを経て、島貿易で交差

ここからはどうやって人事にたどり着いたのか、また現在のキャリアの悩みも教えていただきたいです。まず、3人のご経歴を教えてください。

中村さん

「大学卒業後、最初に入社した化学メーカーで人事や経理を担当しました。その後、個別指導塾に転職し、教室の責任者としてマネジメントを経験しました。そのなかで組織のマネジメントが向いていると感じて島貿易に転職し、総務から人事の機能が切り離されるタイミングで人事になりました。もともと、人事を希望したのは大学生の頃に予備校の進路指導のアルバイトをしていたのがきっかけです。その人が進む道を決めるにあたって、少しでも役に立てる仕事をしたいと感じました。そこで、採用や育成、配置などを通じ、進むべき道を指し示すお手伝いができる人事の仕事に興味を持ったんです」

田中さん

「私は島貿易に新卒で入社した後、ずっと総務で働いており、1年半前に中村さんと同じタイミングで人事担当になりました。新しくできた人事のメンバーに選ばれた当初は、『私に務まるかな』というプレッシャーがありました。人事ができたのは、制度運用や配置、育成や採用など、守りではなく攻めの人事を期待されており、人事主導での施策の実行が求められたためだと感じています。これまで中途採用業務に携わり、社内外問わず多くの方とコミュニケーションを取ってきました。私は人のために動いたり、人の話を聞くことが好きなので、人事に異動してからもできるだけ周りの声を聞くという軸はぶらさないようにしたいと思っています」

太田さん

「もともと全然人事とは関係のない仕事をしており、新卒で化粧品の会社に入社し、販売職をしていました。その経験の中で、自分の『こうしたい』という考えを自ら形にできる仕事に就きたいと思ったことがきっかけで転職を考えるようになりました。私も大学生の頃に予備校で進路指導のアルバイトに注力していたため、人の教育や答えのない問題を思考することに興味があり、2024年の3月に人事を志望して島貿易に転職しました」

これまでのキャリアを振り返り、転機になったと思う経験はありますか?

中村さん

「私はいままで転職を2回しており、やはり会社を変えるタイミングというのが転機になったと感じます。まず、化学メーカーから個別指導塾への転職を考えたタイミングを振り返ってみると、化学メーカーにいた当時、自ら希望して現場に足を運んでいたのですが、現場の社員さんから『きれいなオフィスで働けているから良いよね』と何気なく言われたことがありました。従業員の方からすると管理部門ってそういう認識なんだなと感じるとともに、自分は一体どんな価値を提供できているのか、迷いが生じました。自分の価値をダイレクトに提供したいと思ったときに、大学生のときにやっていた塾のアルバイトの経験が頭をよぎったわけです。そして、人に直接価値を提供する仕事がしたいと、個別指導塾へと転職しました。個別指導塾でも転職を考えたきっかけがあり、塾講師の方を見ていると、毎日教室にいるような方もいて、本当に教えることが人生の生きがいになっていると感じました。塾講師の方と比較したとき、僕自身は、教室の運営やマネジメントの経験を通じて全体最適を考えるのが強みだと思いました。だったら自分の強みを突き詰めて自然と熱量が湧いてくる状態、つまりはやりたいことに変えようと思い、全体最適を考えられる管理部門で再び仕事をしたいと思うようになりました。そこで、島貿易に転職したのです。商社であることから、さまざまな商品を扱うことでこれまで経験していない分野に携われたり、新しいことにチャレンジできる環境があったりする点にも魅力を感じました」

田中さん

「会社が創立100周年を迎えるタイミングで、グアムへの社員旅行や取引先・OBを招いてのパーティの企画、実施に携わったことがあります。初めての大きなイベントで事前準備が大変でしたが、多くの方に協力していただき無事実施できたことで達成感を得ることができました。周年記念行事によって社員同士の交流も深まり、社内のコミュニケーションが活性化され、とても良い機会になりました。創立100周年という会社の記念すべき節目に在籍できたことを嬉しく思いますし、そのときの経験を通じて人の役に立っていることが実感しやすい管理部門(総務人事)の仕事に大きなやりがいを見い出すことができました

太田さん

「前職は店舗勤務で異動があったのですが、2店舗目で新店オープンに携わりました。新店ということで販売員の立場から、店舗設計や運営に対して意見を伝えるようにしていたのですが、どんな意見を出してもこれまでのやり方とは違うからと、なかなかマネージャー陣に聞く耳を持ってもらえず、悲しい思いをしました…。そこで、転職を考えるようになったわけです。逆にいうとその経験から、私は人よりも『こうしたい』『こうすべき』だという意見があるタイプで、正解がないなかで、現状をより良くするために試行錯誤を行うのが好きだと感じました。その考えを転職エージェントの方にお話したところ、採用や育成というもともと興味があった分野で、正解のない状態から試行錯誤できる人事であれば強みを活かせるのではないかとアドバイスをもらい、人事として島貿易に転職したんです。その当時はネガティブに思っていた経験も、自分の強みを発見する良い機会になったといまでは感じており、転機となった出来事の1つです」

「この分野だったらあの人だよね」と言われる存在へ。3人が考える今後のキャリア

いま、抱えているキャリアの悩みがあれば教えてください。

中村さん

「悩みでいうと、このあと立場が上がっていくときに、自分の圧倒的な強みをつくれるかどうかです。これまでの経歴から人事、経理、総務とバックオフィスを幅広く経験し、物事の80%までを完成させ、浅く広く全体を見渡すのが自分の強みだと感じています。一方で、幅広く経験してくると、1つ突き抜けた何かを持ちたいという欲も出てきます。そのため、今後で言うと『この分野だったらあの人だよね』と言われるような、ジェネラリストでありながらもスペシャリストになっていきたいと思っています」

田中さん

「個人のキャリアの悩みというのは正直なく…任されたり頼られたりすることで仕事を進めてきたのがこれまでの私です。だからこそ、周りの声をしっかり聞くという軸をぶらさず、だいぶ歴も長くなってきた総務人事のスペシャリストを目指し、周囲から頼られる存在になりたいですね。立場上、社員の方の悩みを聞く機会も多く、そういった声を今後の人事施策に反映させる動きもしていきたいです」

太田さん

「私はまだまだ人事としての経験も浅く、社歴も皆さんより短いので、それこそ田中さんのように社員の方の声を聞いて頼られる存在になりたいです!私はどちらかというと自分の意見も強くあるタイプなので…自分の意見と他の方の意見を踏まえてベストな選択肢が提案できるような人事になりたいです」

最後に、これから人事として取り組みたいことを教えてください。

中村さん

「スケールが大きくなってしまうんですが、徳川家康がつくった江戸幕府の仕組みがすごいと感じており、家康が亡くなった後も260年以上に渡って徳川家の統治が続きましたよね。このように、自分がいなくなっても機能する人事の仕組みをつくりたいと考えています。また、取り組みではないですが、他社の方と交流する機会も増やしていきたいです。ちょうどカオナビさんがそういった機会をつくってくれているので、積極的に参加したいと思っています。というのも、働く環境がどんどんと変化するなか、それにあわせて人事もアップデートし続けることが大事です。そこで『他社はどんな取り組みをしているか』、常に情報収集を行いながら自社にヒントを持ち帰るのが大切だと感じているためです。クローズドになりがちな人事だからこそ、外部にも目を向けながら課題を1つずつ解決していきたいです」

田中さん

「中途採用が増えたことで、さまざまな経験のある方が入社するようになりました。既存の社員にはない観点もあると思うので、そういった方々が気軽に意見を言えるような風土づくりをしていきたいですね。いままで当たり前にやっていたことのなかにも、無駄なところなど改善の余地はあると思いますので、固定観念にとらわれず、新しい視点を拾って反映するような人事でありたいと考えています」

太田さん

「私自身はまだまだ人事歴も浅く、先輩方から勉強すべきこともいっぱいあるなかで、社内だけでなく社外の人と関わることで業務のヒントがもらえる機会もあると思っています。そのため、中村さんが話したように他社との交流機会も持ちながら、いろいろな人の意見を吸収して業務に活かせる人事でありたいと思っています」

三者三様の経験や考えが聞けた今回。中途入社で他社の人事を経験している中村さん、新卒から島貿易に在籍する田中さん、そして2024年の3月に未経験で入社したばかりの太田さん、3人の話を通じて少しでもキャリアのヒントが見つかると嬉しいです。

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