「この人みたいな女性になりたい」就活時に魅了された人事担当者と一緒に仕事するまで

広島県福山市に工場を持ち、化学工業薬品や医薬品の製造・販売を行うマナック株式会社。同社に新卒で入社し、これまで人事の仕事に携わってきたのが田上由季さんです。

元々は書道の先生になりたかったと話す田上さんですが、縁あって地元の福山に本社があるマナックに入社し、上司の一言で人事に異動することに。そこから、どんどん仕事がおもしろくなってきたと言います。今回はそんな田上さんが、マナックに入社し、人事の仕事にハマるまでの過程を聞きました。

後編ではやりがいを感じていた業務から遠ざかり、少しずつ人事としての存在意義を見失い始めたという田上さんが、どうやって自信を取り戻していったのかお聞きしました

Profile

田上 由季

マナック株式会社
総務人事部 人事課

新卒でマナックに入社し、総務部門を経て人事に異動。給与管理や社会保険の手続き、採用業務などを担う。現在は『カオナビ』の運用をはじめ、就業規則改定や確定拠出年金の運用、健康経営に向けた福利厚生の管理、ストレスチェックの運用などを担当。

会場にいた人事のなかでひときわ輝いて見えた。今の上司との出会いが入社の決め手

まずは、マナックに入社された経緯から教えてください。

田上さん

「私はもともと教員になるつもりでした。学校の授業がきっかけで書道を好きになり、小学生の頃から書道を習っていたんです。日本の文化を世界に発信したいという思いもあり、高校の書道の先生が将来の夢でした。その夢に向かって、大学でも教員免許を取るために学んでいたのですが、当時は就職氷河期…。民間企業の採用が厳しくなり、公務員になりたい人が増加し、もともと狭き門だったのが、さらに難しい道になってしまったんです。そこで、民間企業への就職を考えるようになったタイミングでマナックに出会いました。本社のある福山の出身ではあるものの、マナックは就職活動の時期になるまで知りませんでした。とはいえよくよく調べてみると、マナックは日本だけでなく世界を視野に入れて事業を行っている会社でしたので、世界に目を向けている部分は私の希望ともマッチしていると感じました。そこで『ここなら世界を視野に入れた事業に携わることができるかもしれない』と考え、志望しました。会社説明会にいた人事に強烈に惹かれたのも、入社を決めた理由の1つです。お世辞抜きで、会場にいた各社の社員さんたちのなかで一番輝いて見えました。あんな人になりたい、彼女のような女性になりたいと強く感じました。そのときの女性が、今の上司なんです」

入社のきっかけになった方と一緒に働けているなんて素敵ですね。

田上さん

「3年目に人事に異動してからはずっと一緒に働いており、いまでも本当に尊敬できる上司です」

どんなところを尊敬していますか?

田上さん

「相手の気持ちになって考えることができるところです。自分とは違う属性や家庭環境にいる人に対して、相手の立場に立って考えられるので、本当にすごいと思います。かつ、その姿勢がぶれることがありません。たとえば、子どもがいない人には子育て中の人の気持ちはわからないし、介護をしている人の気持ちも介護をしてみないとわからないといったことは往々にして起こりえます。でも、上司を見ていると、いろいろな立場の人の気持ちを理解しようとしているんです。加えてやさしく寄り添うだけではなく、いけないことはきちんといけないと言えるし、行動力もある。私たち人事に対して従業員としては言いにくいこともあると思いますが、それを引き出すための声かけなどにも気を配っており、もう一生追いつけない存在です(笑)」

人事として採用に携わり、仕事がどんどんおもしろくなる

マナックに入社してから、まずはどんな仕事を経験しましたか?

田上さん

「最初は総務部門に所属し、受付や会社の行事運営などを行いました。ただ、最初は馴染むのに苦労しましたね…。とくに工場で働く従業員とのコミュニケーションは大変でした…。場所が離れているとどうしても工場の社員に会う機会が少なく、なかなか人の顔を覚えられなかったんです。一番年が近い方で7つ上と同世代がいない環境だったため、コミュニケーションをとる糸口がありませんでした。そこは苦労したというか、どうしても孤独感はありました。そこから、人事に異動したのが私にとっては転機となりました

改めて人事に異動した経緯を教えてください。

田上さん

「入社してちょうど2年経ったころ、上司から『より人のためになる仕事ができるし、知識も増えるから人事をしてみない?』と声をかけていただいたのがきっかけです。私としても、より専門的なスキルを身につけられる仕事をしたいと思っていたので、喜んで異動を受け入れました」

人事として、まずはどのような業務に携わりましたか?

田上さん

「給与管理や社会保険の手続きなどを先輩から学びつつ、業務を少しずつ覚えていきました。社会保険は知らないことだらけだったので、社労士を目指す方が習得するような勉強もしました。今はわからないことがあればネットで簡単に調べることができますが、当時はまだパソコンも普及しておらず、ワープロ。当然ネットで調べることはできず、本で調べつつ、先輩に聞きながら少しずつ学んでいきましたね」

実際に人事の業務をしてみてギャップはありませんでしたか?

田上さん

「人事といえば採用の印象しかなかったので意外と事務的な手続きも多いんだなという印象を持ちましたが、大きなギャップは感じなかったですね。さらに採用業務を経験するようになってからは『人と接する仕事がしたい』『人のために何かしたい』というもともと持っていた思いを実現できた感じがして、仕事がどんどんおもしろくなってきました。従業員の方とのコミュニケーション機会も増え、感謝の声も聞こえやすくなり、人事という仕事にのめりこんでいきましたね」

採用に携わってみていかがでしたか?

田上さん

「まず、さまざまな価値観を持った人と話せることが純粋に楽しかったです。採用候補者の方の話を聞くのも勉強になりました。とくに学生など若い世代と話し、彼らが何を求めているのかを知ることで、自分の考えも変化し、殻を破ることができたと思います。私が新入社員のときはまだまだ上下関係がはっきりしている時代で、上の人の意見が絶対という空気がありました。その頃の経験がベースとなっているので、どうしても上の人の意見を聞きすぎて、自分の意見を表に出すことを遠慮する自分がいたんです。でも採用を通じて若い人たちと会うと、自分の意見をしっかりと持っていることに気づきます。だから私も自分の意見を大切にし、きちんと表に出していこうと、逆に若い世代から学ぶことができました

こうして人事の仕事にやりがいを持ち始めた田上さんですが、育休などをきっかけに採用業務から離れてしまい、少しずつ人事としての存在意義を見失い始めたといいます。そこからどうやって、自信を取り戻していったのでしょうか。続く後編で迫ります。

*本記事の掲載内容はすべて取材時(2024年6月28日)の情報に基づいています。

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会社概要

社名 マナック株式会社
設立 昭和23年5月
事業内容 難燃剤、医薬品、動物用医薬品、食品添加物、写真感光材料、高機能性材料、染料、香料など様々な分野の先端技術産業に原材料を供給。
従業員数 207人
会社HP https://www.manac-inc.co.jp/

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